
アジア・太平洋戦争において日本軍がその「兵站」として従軍「慰安婦」を必要とし、強制などにより「慰安婦」を集めていた。民族・国籍別に様々な出自を持つ従軍「慰安婦」の中で、特に日本人の「慰安婦」に焦点を当てた論稿集。
様々な国籍を持つ従軍「慰安婦」の中でも、特に日本人「慰安婦」についてジェンダー、階級、民族といった観点から多角的にありようを検証する。
彼女らがいかなる出自を持ち、どのような経緯で「慰安婦」となったのか、またそこに軍や業者はいかに関与したのか、そして「慰安婦」であった女性たちは何を考えどのように慰安婦として戦時、戦後を生きたのかをみる。
戦時の日本軍向け慰安所から、敗戦後の進駐軍向け慰安所に至る「慰安婦」という性の国策動員システム、その構造を追うための基本文献。
■目次
第1章 日本人「慰安婦」はどう集められたか
日本人「慰安婦」の徴集と近代公娼制度
長崎事件・静岡事件大審院判決を読む―「慰安婦」強制連行は誘拐である
植民地朝鮮の公娼制度と「慰安婦」制度
日本軍の慰安所政策について
第2章 日本人「慰安婦」はどう扱われたか?
日本人「慰安婦」の処遇と特徴
書籍・雑誌にみる日本人「慰安婦」
慰安所業者の聞き取りから
沖縄・芭蕉敷の慰安所の事例―平岡知重さんの聞き取り
沖縄の日本軍慰安所
第3章 日本人「慰安婦」の戦後はどうだったか?
日本人「慰安婦」の戦後―菊丸さんの場合
書籍・雑誌にみる日本人「慰安婦」の戦後
日本軍「慰安所」からRAA・占領軍「慰安所」へ
■著者略歴
西野瑠美子 : 「戦争と女性への暴力」リサーチ・アクションセンター(VAWW RAC)共同代表、日本人「慰安婦」プロジェクト・チーム。2004年度日本ジャーナリスト会議JCJ賞、第一回平和・協同ジャーナリスト基金奨励賞など受賞
小野沢あかね : 立教大学教授。専攻は日本近現代史・女性史。VAWW RAC運営委員、日本人「慰安婦」プロジェクト・チーム(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
■書誌情報
・著者:西野瑠美子、小野沢あかね 等
・発行:現代書館
・発行日:2015年
・四六版 / 280ページ