竹村直也『マッチと街』
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竹村直也『マッチと街』

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マッチと街ーマッチがあった頃、高知の街はずっと元気であった。 激動の昭和、そして平成初期にかけての「あの頃」、高知の街は今よりもずっと元気でした。 東京へはYS11が一日数便しか飛んでいなくて、瀬戸大橋も高速道路もまだまだ遠い未来の話。 スマホもネットももちろんなくて、テレビも民放が2局しかなかった時代。 だけどそのぶん、今よりもずっとたくさん、街には人の「居場所」がありました。 珈琲を飲みたいと思えば純喫茶や音楽喫茶があり、お酒を飲みたいと思えば居酒屋はもちろんのこと、カクテルバーやジャズバー、スタンド、スナック、ラウンジ、キャバレーと、今ではあまり聞くことのない業種も含めさまざまなスタイルのお店が、お客さんを待っていてくれたのです。 人口30万人たらずのコミュニティの中で、あらゆる用事はこの街の中で済ませることができました。 街は、今よりもずっと濃かったのです。もちろん、今でもたくさんのお店が高知の街にはあります。街並みははるかにきれいになりました。 だけど、「あの頃」に比べると、街はずいぶん大人しくなってしまったのではないか、とも思うのです。 この本には、高知の街の「あの頃」を偲ぶことができる、たくさんのマッチを掲載しています。 そのデザインは決して洗練されたものばかりではありませんが、数多の商いがこの街の活気を支えていたことを窺い知ることができます。 ひとつひとつのマッチの向こう側には、たくさんの物語があったはずです。いかにも小さい店構えであったであろうスタンドで、いつまでもクダを巻く酔客に手を焼くママ。 1ドル360円のまだまだ海外が遠かった時代、ヨーロッパへの憧れいっぱいの店名をつけたマスターと、その雰囲気を楽しむお客さん。 喫茶店で、バーで、毎日繰り返されるたくさんの色恋沙汰に、終わることのない議論、果てしないケンカ。 いまやマッチ自体が時代の遺産になりかけていますが、当時を知る人には、「あの頃」のことを思い出してホロリときてほしいです。 当時を知らない人には、「あの頃」の高知の街のことを想像してニヤリとしてほしいです。 ■目次 ・まえがきー「あの頃」が良かったのかどうかはわからないけど、ちょっと羨ましい。 ・帯屋町 ・ジャズ喫茶木馬のはなし。 ・京町/新京橋/中央公園 ・viva! cabaret! ・追手筋/廿代町/柳町 ・街がお洒落を教えてくれた。〜BAR フランソワにて〜 ・はりまや町/南はりまや町 ・EUROPE LOVE! 〜欧米へのあこがれ〜 ・土電会館ストーリー ・県庁前/中島町/堺町 ・串カツ、葉牡丹、堺町。 ・下知 ・GOOD DESIGN MATCH ・潮江 ・愛宕/小高坂 ・高知の街と喫茶店にまつわるミニデータ ・喫茶店文化と、現代企業社 ・解 説ー高知の盛り場、その変遷 ・あとがきーお街にネット、スマホ、コンビニがない時代。 ■書誌情報 ・著者:竹村直也 ・発行:マッチと街出版委員会 ・発行日:2018年 ・四六版 / 192ページ